はじめに
病院に行ったら、大腸がんで肝臓や肺に転移があると告知され、
突然手術を希望するかしないかと医師に言われて
困っていないですか?
もし情報やデータだけを言われて、
医師としての意見教えてもらえず、
患者側に選択だけを任せられているならば、
困っていましますよね。
そのため、私としてはインフェームド・コンセントにおいて
「結局どうするのが一番勧められるか」について
医師としての意見を伝えることが極めて大切であると考えています。
大腸がんは転移があっても、手術を勧める
私としては、大腸のがん(原発巣)については、
手術が可能であれば
手術を受けること勧めます。
ここで言う手術が可能な状態とは、
以下1)及び2)を満たす状態のことです。
1)転移している部分の切除は難しくても、
大腸のがん(原発巣)に対しては手術でとれる
2)心臓や呼吸の機能を中心に安全に全身麻酔ができると考えられ、
医学的に手術に耐えられる可能性が高い
手術を行えば、その後の治療が楽になる
「そうは言っても、
全ての癌が取りきれないのであれば、手術をしても意味ないのでは?」
そのように考える方もいると思います。
他のがん(膵臓がんや、肝臓がん、胃がん、肺がんなど)であれば、
その考え方も正しいでしょう。
しかし大腸がんであれば、
転移があっても手術が可能であれば、
手術を勧めます。
その理由は、その後の治療が楽になるからです。
その上、手術自体も他のがんと比べると負担が少ないです。
それでも「手術は痛くて怖いし、不安だ」と考えるかもしれませんが、
手術を受けた方がその後、楽に生活していけます。
大腸がんは、抗がん剤治療がよく効く
なぜそのようなことが可能なのかというと、
他のがんに比べて、大腸がんは抗がん剤による治療がよく効きます。
肺転移や肝転移があっても
肺がんや肝臓がんより
ずっと抗がん剤が効きやすいです。
そのため、転移した部分のがんを
副作用の出にくい投与量や投与間隔で
治療していくことが可能です。
大腸がん・多発肺転移があるステージ4の患者さんでも、
大腸がんを切除して、肺転移に対して抗がん剤治療を行っていますが、
3年間元気で大きな副作用もなく、元気に自宅で暮らしています。
大腸のがん(原発巣)を残すと、途中で治療困難になり易い
一方で、原発巣が切除されずに残っている方は、
その部分の症状が強くなって、
抗がん剤を多めに投与したりしなくてはならない。
あるいは薬が効かないと腸が詰まってしまったりして、
抗がん剤治療を中止しなくてはならない、
といったことが起こります。
そのため、頑張って治療を受けたけれど、
結果的には副作用が多く出てしまい、
思っていたような生活ができなくなったり、
辛い思いをすることが多いです。
転移があっても、まだまだ元気に生きていける
進行癌、しかも転移があるという状態で発見された場合、
「もう何をしてもすぐに死んでしまうから、何も治療を受けたくない。」
と自暴自棄になってしまう方がおられます。
貴方がそうなってしまった場合、
まずは深呼吸をしてみましょう。
がんではありますが、大腸なのです。
大腸がんは、転移の状況によっては
転移している部分も切除して、がんが取り切りきれることがあります。
抗がん剤治療が効きやすいので、
治療の結果、がんが完治する状態にもっていけることがあります。
また完治が難しい場合も、
副作用が出にくいように抗がん剤治療を行って
年単位の間、元気に生きていくことができることが多いです。
最後に
このように治療による効果が期待しやすい大腸のがんですが、
早期発見のためには、定期な大腸カメラが大切
まず早期発見のため、
定期的に大腸カメラを受けることは何よりも大事なことです。
→大腸カメラを定期的に受けることについての詳しい情報はこちら。
転移がある状態で見つかった場合
しかし、定期的な検査をされていない方で
ある時症状があって受診したら、
転移がある状態で見つかる人がいます。
このような場合に
原発巣を切除せずにいると、
前述したように、がんを上手くコントロールできず、
元気に生きていける時間が思ったよりずっと短くなることがあります。
そのようにならないためにも、工夫の1つとして、
転移があっても切除できるなら、
大腸のがん(原発巣)については切除することをお勧めします。
このページを読んで頂いた方が
少しでも良い大腸がん治療を受けることができ、
少しでも良い生活を過ごせることを
祈っています。