Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【1人暮らしの人は必見】1人でも簡単に背中に薬を塗ることができる方法【抗がん剤治療/皮膚炎/皮膚障害】。

抗がん剤治療で、あるいはアレルギー性皮膚炎や接触性皮膚炎で

背中の皮膚が荒れるので辛いけれど、

1人暮らしだから薬を塗れない。

 

そんな悩みを持って困っていませんか?

 

今回は1人暮らしでも1人で簡単に

背中に薬を塗ることができる方法を中心に

抗がん剤による皮膚障害について対処法を紹介します。

 

 

 

皮膚障害に対してまず行うこと(保湿)

 

抗がん剤治療中は肌が荒れやすくなる人がいます。

肌が荒れる場合は保湿を心がけましょう。

  

特にお風呂に入った後は直後(5分〜10分以内)に

保湿剤を塗ることが大切です。

 

そうでないと、お風呂に入ったことで

かえって体が乾燥してしまいますので要注意です。

 

そして上記の1回以外に最低でももう1回

保湿剤を塗りましょう(1日2回以上)。

 

保湿剤はどれだけ塗っても基本的に害はないので、

どれだけの量を塗っても大丈夫です。

 

ただ塗る量が少ないと効果がないばかりか、

塗る時にこすった分だけ悪化することもあるので、

最低でも塗った薬が薄く光る程度には

塗りましょう。

 

またお風呂に入るときは

低刺激性の石けんでこすらず包むように洗い、

アルコールを含まない化粧品を用いたりしましょう。

 

 

特定の抗がん剤による皮膚障害

 

大腸がんで使用される抗EGFR抗体薬(セツキシマブ、パニツマブ)

による治療を受ける場合は、高い確率でにきびのような湿疹を生じるため、

上記だけの対策では不十分です。

 

したがって、次のような対策を加えないといけません。

 

・皮膚炎が起きたら、ステロイド軟膏を塗る。

・予防的に抗生物質を飲む。

 

これらの薬は、医師に処方してもらえます。

 

軟膏はしっかり塗らないと皮膚障害が悪化しやすくなってしまうので、

医師の指示に従い正しく塗りましょう。

 

 

1人でも背中にしっかり薬を塗るための方法

 

1人で薬を塗る時に心配なのが、背中です。

背中はどうしても届かない部分があります。

 

背中は塗れないから放置されることがよくありますが、

かなり悪化されてから相談されて治りにくくなり、

これが原因で抗がん剤治療が続けられなくなることがあります。

 

このようなことがないように今回紹介したいのが、

「せぬーる」「軟膏ぬりちゃん」という道具です。

 

孫の手みたいな道具であり、

これを使うと「背中に薬をぬる」ことができます。

 

非常に便利な道具であり、

実際にがん専門の病院でも使用を勧められています。

 

背中に薬が塗れないと悩んでいるようしたら、

是非使ってみましょう。

 

 

 

 

その他の皮膚障害の悪化を抑える方法

 

次のようなことに気をつけることでも、

皮膚障害の悪化を抑えることができます。

 

・天然素材の柔らかい衣服を着る

・熱いお風呂、長時間の入浴を避ける

・入浴時にナイロンタオルは使用しない

・綿タオルなどの刺激の少ないものを用いる

・髭を剃る際、カミソリの代わりにシェーバーを利用する

 

 

最後に

 

今回は1人暮らしで抗がん剤治療をしていたら皮膚障害が出た場合や

皮膚障害が出ると予想される場合の対処法を書きました。

 

しかし実際には上記の方法は、抗がん剤治療中の方だけでなく、

アレルギー性皮膚炎をはじめ皮膚障害がある方の多くに

有用な方法です。

 

この記事が皮膚障害で悩む方の手助けになることを

願っています。

 

 

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