抗がん剤治療をしていると、口内炎ができて口の中が痛くなり、
食事も食べることができなくなることがあります。
すると体力が低下し、ますます抗がん剤の副作用が出現しやすくなり、
口内炎も治りにくくなります。
今回は抗がん剤による口内炎で苦しむ人が減るように
その対策について書いていきます。
口内炎が出現しやすい抗がん剤
フルオロウラシル(商品名:5-FU)、
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名:TS-1)、
カペシタビン(商品名:ゼローダ)
に代表される5-FU系の抗がん剤によって
引き起こされることが多いです。
口内炎対策はまず予防が大切
口内炎対策で最も大切なのは予防です。
以下のような状態にある人は口内炎が出現しやすいです。
・虫歯がある
・義歯が合っていない
・喫煙する
・過度の飲酒をする
・歯周病がある
・糖尿病がある
したがって、抗がん剤治療を受ける前に歯科を受診して
歯の状態をチェックしてもらうことが大切です。
また上記のような状態にならないように
普段から適切な歯磨きや、うがいをして
しっかりと口の中のケアをしましょう。
さらに糖尿病の人は、血糖値が高くならないように
糖質の取りすぎに気をつけつつ、
糖尿病の治療をしっかりと受けることが大切です。
予防で対処困難な時、早めに治療を行う
上記のような予防策を行なっても口内炎が出現した場合
口内炎を早く治すためには以下のような対策を行いましょう。
抗がん剤を減量、あるいは休薬・中止する
抗がん剤が原因で口内炎が生じているので、
原因を解決することをまず優先します。
可能であれば休薬・中止を行うことをお勧めしますが、
最低でも減量するのが望ましいと考えます。
なぜなら、抗がん剤の副作用が改善してから薬を増やすことはできても、
抗がん剤の副作用が治らないようになってから
薬を減らしても対処することができないからです。
さらに無理に抗がん剤を投与すると
途中で治療を続けたくなくなったり、
抗がん剤を続けられない状態まで体力が低下したりして
結局は休薬あるいは中止せざるを得ない状況になります。
何が何でもがんをとり切らなければいけないような特殊な状況を除いて
副作用が辛い状況下での無理な抗がん剤は避けることを
お勧めします。
半夏瀉心湯を微温湯に溶かして口に含みうがいをする
「半夏瀉心湯」とは漢方薬です。
この成分が口の中で口内炎の部分にあたることにより、
炎症を改善してくれる効果があるとされています。
具体的には半夏瀉心湯を微温湯に溶かして1分ほど
クチュクチュうがいをしてみて下さい。
うがいの後は、そのまま薬を飲み込んでもらっても構いません。
もし腸炎などがあるようでしたら、そちらについても効果があります。
これにより口内炎が治癒するまでの期間を約半分に短縮できると
されています。
「エレンタール」という栄養剤を飲む
エレンタールという医師が処方できる栄養剤があります。
エレンタールの中にはグルタミン酸という成分が含まれており、
口内炎を早く治してくれる作用があります。
また栄養剤なので、抗がん剤治療の副作用で弱っている体に
栄養を補給することができるので、一石二鳥です。
最後に
抗がん剤による口内炎は、予防が大切です。
歯の状態、喫煙・飲酒などの生活習慣、
糖尿病などの持病のコントロールが大切です。
これらの予防策を講じても口内炎ができてしまった場合は、
出来るだけ早く主治医に伝えて
抗がん剤の減量(あるいは休薬・中止)、
半夏瀉心湯、エレンタールの摂取を行うことを考えましょう。
また半夏瀉心湯やエレンタールは口内炎の予防としても
役に立つので、口内炎かもしれないという状況でも
効果が期待できます。
この記事が抗がん剤による口内炎で苦しむ人の助けになることを
願っています。