「私、風邪です。」
と自己診断したことはないですか。
風邪とは、発熱があること、喉の痛みがあること、
鼻水があること、咳があること。
上記のうち、どれかあれば、風邪と考えていませんか?
もしそうだとすると、危険です。
風邪ではないことがあります。
診断が遅れて命に関わることだってあります。
今回は風邪とはどのような病気なのか、
まずは風邪と考えて良い典型的な症状とはどのような症状なのか
について書いていきたいと思います。
風邪とは
ウイルスが原因の「急性上気道炎」です。
「急性」とは、短期間のうちに病気が出現することを言います。
「上気道炎」とは、口及び鼻から気管支までの炎症のことです。
細菌は1つの場所(臓器)で定着して増殖していく性質が強いですが、
ウイルスは、複数の場所(臓器)に広がって増殖していく
性質が強いとされています。
そのため、典型的な風邪の場合、
発症は喉などの単一臓器の症状ですが、
1日〜2日の間に、喉だけでなく、
鼻・気管支まで広がって複数の臓器の症状が出現します。
つまり、喉の痛み・鼻水・咳これらが1日〜2日の間に
出現する状態であれば、風邪と考えて
まず間違いないと考えることができます。
「私、風邪です」と自己診断することは危険
しかし多くの患者さんは以下のように言います。
熱があるから、風邪。
喉が痛いから、風邪。
鼻水があるから、風邪。
咳があるから、風邪。
熱が出るだけなら、感染症、腫瘍、膠原病、薬剤熱
などが考えられます。
喉が痛いだけなら、(咽頭や喉頭の)感染症、腫瘍
などが考えられます。
鼻水があるだけなら、(アルルギー性)鼻炎、副鼻腔炎
などが考えられます。
咳があるだけなら、肺炎、結核、(咳)喘息、COPD、
逆流性食道炎、心不全などが考えられます。
つまり、多くの患者さんはこれらの可能性については考えずに
「私、風邪です。」と自己診断をして来院されます。
しかし肺炎などの命に関わる病気かもしれません。
「私、風邪です。」と言って風邪として治療されて
肺炎の発見が遅れたケースもよく見かけます。
そのため、私はこのような患者さんに対して、
「いつ頃から、どのような症状がありましたか。」
と再度質問することにしています。
症状経過を伝えることが大切
ただ残念ながら、医療者の中には
「患者さんが風邪だと言ったら、風邪だろう。」と
詳しく症状を聞かない人もいます。
そのため、患者さん側も「私、風邪です」
と安易に自己診断しないことが大切です。
前述の典型的な症状がなければ、
しっかりと「いつ頃から、どのような症状があったか」
を主治医に伝えることが自分の体や命を守ることになります。
また風邪ではなければ、治療法も変わります。
より効果的な治療をより早期から行うことにが可能になります。
最後に
風邪の典型的な症状と経過を知らずに、
「私、風邪です」と自己診断することは大変危険です。
効果のない治療を行なってしまう可能性があるだけでなく、
症状を抑えてしまって、発見が遅れて命の危険に曝されることもあります。
風邪はウイルスによるもので広がって増殖しやすく、
複数の臓器の症状(喉の痛み、鼻水、咳)が
短期間(1日から2日)のうちに出現する。
これが典型的な風邪の症状とその経過です。
上記のことを知っていれば、それ以外の経過になった時に
「風邪でないかもしれない、病院に行こう」と
判断することが出来るようになります。
その結果、風邪以外の場合でも
自分の体と命を守ることができるようになります。