大腸カメラを受けてみたら大きなポリープがあり、
「がんではないか」
「カメラによる治療はできないのではないか」
と不安になったということはないでしょうか?
大きなポリープが見つかった時は
誰もが不安になり、ストレスを感じています。
そのような時、正しい知識を知っていれば、
ストレスを軽減することができます。
また今後の治療方針についても
より冷静に判断できるでしょう。
今回は大腸のポリープが見つかった時に、
実際にどのように医師が判断して
治療方針を決めているかについて紹介します。
- 大腸カメラでほとんどの場合、良性・悪性の判断ができる
- カメラで取りきれそうな「がん」かどうかはより高確率で可能
- 大腸がんは「大きさ」よりも、「深さ」が重要
- がんが深くまで浸潤している場合は、追加で手術
- 「内視鏡で切除できないポリープ」と診断された場合
- 大腸ポリープには無視して良いポリープがある
- 最後に
大腸カメラでほとんどの場合、良性・悪性の判断ができる
最近は大腸カメラの機械自体の発達もあり、
大腸カメラでポリープの表面や形態などを観察するだけで
90%以上のポリープの良性・悪性の判断ができるようになりました。
カメラで取りきれそうな「がん」かどうかはより高確率で可能
悪性の中には、大腸カメラで切除できるものと、
手術でないと切除できないものがあります。
大腸カメラで切除できない大腸がんは、
大腸カメラで切除できるがんより進行したもので、
表面や形態の変化により特徴が出てきます。
そのため、カメラによる観察のみで
良性・悪性の判断よりも高確率に判断することが可能です。
大腸がんは「大きさ」よりも、「深さ」が重要
大腸のポリープは「がん」であっても深さがなければ、
基本的には大腸カメラで切除可能です。
なぜなら、大腸がんは大腸の壁のある程度の深さまで浸潤することによって
リンパ節に転移が認めるようになるからです。
ある程度の深さとはどの深さとはどのくらいでしょうか?
大腸の壁で1番浅い部分を粘膜層(ねんまくそう)と言いますが、
その下に粘膜下層(ねんまくかそう)というものがあります。
この粘膜下層というところの1mmまでの深さにとどまっていれば、
リンパ節に転移する可能性が低く、
しっかり取り除くことが出来れば基本的に再発することはありません。
がんが深くまで浸潤している場合は、追加で手術
大腸カメラで切除したポリープで、
万が一がんが大腸の壁を深くまで浸潤している場合は、
手術を行い追加で大腸の切除を行います。
なぜなら、周りのリンパ節に転移している可能性があるからです。
「内視鏡で切除できないポリープ」と診断された場合
上記のように診断された場合は、
大腸の壁の深くまで浸潤した大腸がんであることを意味します。
この場合は基本的に見た目だけで診断がつきますが、
どのような顔つきのがん細胞かを調べるために
鉗子(かんし)という細胞を採取する道具を内視鏡の先端から出して
がん細胞を採取します。
また大腸を切除する手術が必要になると予測されるので、
大腸がんがある場所の近くに墨やクリップで目印をつけます。
大腸カメラが終わったすぐ後は、大腸が綺麗な状態であるため、
施設によってはそのまま造影剤を用いた3D-CTという検査を行います。
それによって大腸がんと血管の位置関係を把握して手術に備えたり、
リンパ節・肺や肝臓へ転移の有無を調べて病状を把握します。
このようにすることで、大腸カメラでみつかったその日のうちに
大まかな治療方針を決めることができます。
大腸ポリープには無視して良いポリープがある
大腸カメラでみつかったポリープが全て切除が必要なポリープではありません。
大腸カメラで切除が必要なポリープは、
がん(悪性のポリープ)はもちろんですが、
良性のポリープの中では基本的には腺腫(せんしゅ)
あるいはその成分が混在するものだけです。
何故腺腫は切除が必要かというと、
将来、がんになることがあるからです。
腺腫や腺腫の成分を含まない良性のポリープは、
がんにはならず、
大腸を詰まらせるような巨大なポリープなどの例外を除けば
基本的には無視して良いポリープです。
最後に
大腸カメラで大きなポリープが見つかると、
「がんではないか」
「カメラでは切除できないのではないか」
と不安になりますよね。
しかしカメラで治療ができるかどうかに重要なのは
ポリープの「大きさ」ではなく、
大腸の壁を浸潤している「深さ」になります。
そのため、「大きさ」だけで不安にはならず、
まずは主治医の先生の話をよく聞いて
貴方の体の中で優先順位を立てて
1つずつ冷静に対処していきましょう。