- 「便潜血検査で問題なし」≠「大腸がんなし」
- 便潜血検査で陽性でも、意外に大腸がんであることは少ない
- 便潜血検査で問題なしでも、大腸がんは否定できない
- 大腸カメラを定期的に受けることが、最善のがん予防法
- 最後に
「便潜血検査で問題なし」≠「大腸がんなし」
大腸がん検診で最も普及している検査。
便潜血検査。
「毎年、便の検査をしているので大腸がんはなく、
大腸カメラは受けなくても大丈夫です。」
と医師に言っている、あるいは自分で思っていないですか?
外来でこのような人をよくお見かけします。
確かに、便潜血検査で大腸がんの疑いがあるとなれば、
がんである確率は上昇します。
しかしこの検査で「問題なし」と判定されても、
「貴方に大腸がんがありません」ということにはならないのです。
なぜなら、この検査で「問題なし」という判定は
「貴方に大腸がんがある確率は、普通より低いですよ。」
ということを言っているにすぎないからです。
「えっ、そうなの。」と思った方のために、
以下に詳しく書いていきます。
便潜血検査で陽性でも、意外に大腸がんであることは少ない
しかし、この検査で実際に大腸がんであった人は5%弱であり、
治療が必要なレベルのポリープがあった人を含めても20%程度です。
全く問題がない人も多いです。
便潜血検査で問題なしでも、大腸がんは否定できない
逆に、便潜血検査で問題がないと言われた人でも
大腸がんがあることがあります。
それは何故でしょうか?
便潜血検査は、便に血が混ざれば大腸がんの疑いあり判定されますが、
血が混ざらなければ問題なしと判定されます。
つまり、大腸がんがあっても
そこから検査で感知できるだけの出血がなければ
大腸がんなしと判断されてしまいます。
逆に、便が大腸の粘膜で擦れただけでも出血することがあるので、
その場合は大腸がんがないのに
大腸がんの疑いありと判断されてしまいます。
大腸カメラを定期的に受けることが、最善のがん予防法
ではどうすれば、大腸がんではないことを確認できるのか。
100%確実な検査は存在しませんが、
それに近い状態にするためには、
大腸カメラを受けるのが一番良いと考えます。
しかも定期的に受けるのが良いと思います。
もちろん例外はありますが、
基本的には健康な人で3年に1回くらいの頻度で受けるのが良いと思います。
しばらく期間が空いてしまった場合や初めて受ける人は、
最初の2回は1年間隔で受けるのが良いでしょう。
それで問題がなければ、3年に1回と間隔を広げていきます。
また大腸カメラでは、ポリープがあればその場での切除も可能であり、
定期的にカメラを受けていれば、
定期的にポリープを取り除いて大腸がんが出来にくいようにすることが可能です。
一方で便潜血検査で大腸がんの疑いありと判定された時には、
進行がんのことがあり、手術を要することがあります。
しかし大腸カメラを定期的に行うのであれば、
カメラで取りきれる段階で発見できることがほとんどです。
特に肛門近くの直腸で進行がんができると、
人工肛門(お腹の上に便の出口を作ること)が必要になることが多く、
定期的な大腸カメラを受けて早期発見を行うのが現在では最善の方法と考えます。
最後に
便潜血検査は、
大腸がんである人を見つけやすくするために行われるようになりました。
検査の結果、問題がなければ、
統計的には大腸がんである確率は下がります。
しかし「貴方が大腸がんではない」という証明には
残念ながらなりません。
便潜血検査の結果では
進行がんとしてみつかる可能性が定期的な大腸カメラの検査より高くなります。
その結果、通常の肛門が使用できなくなり、
人工肛門になることもあります。
今までは直接声の届く範囲でお伝えしてきましたが、
上記のような結果にならないように、この記事を通して
より多くの人にこのことを知って頂き、
定期的に大腸カメラを受けて頂きたいと思います。