Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【医師が解説】がんを克服するための、上手なセカンドオピニオンの受け方【準備/手順/話の切り出し方/メリット/デメリット】

「別の病院でセカンドオピニオンを受けたいので、

今まで行ったデータをください。」

と主治医に言うと、

 

「今まで検査や治療をしてくれた主治医を

裏切ってしまうことになる」と考えられる方がいます。

 

また「セカンドオピニオン先で同じ治療が提案されて

結局は元の主治医の治療を受けることになった場合、

主治医の態度が変わったり、扱いが変わったりするのではないか」

と心配される方がいます。

 

今回はこれらの悩みを克服し、がんを克服するための

上手なセカンドオピニオンの受け方について紹介します。

 

 

 

セカンドオピニオンの目的

 

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そもそもセカンドオピニオンの目的とは何でしょうか。

それは、「主治医の今まで行った検査や治療をもとに、

他の医師に意見を聞くこと」です。

 

主治医を替えたり、転院したりすることが

セカンドオピニオンだと思われている方がいますが、

そうではありません。

 

ましてやセカンドオピニオン先で追加の検査や治療を行う

ことではありません。

 

あくまで今あるデータを元に、

「オピニオン(意見)を聞くこと」です。

 

そのため、今の治療法で良くならないので

別の治療法がないかを知りたいときや、

今の治療法で本当に良いかを確認したいときに検討すると良いでしょう。

 

 

必要最低限の情報を集めよう

 

セカンドオピニオンを行う前に必要最低限の情報を集めましょう。

 

国立がん研究センターのがん情報サービスの内容や、自分の病状、

進行度、なぜ主治医が今の治療法をすすめるのかは知っておきましょう。

 

なぜなら、あなた自身ががんについての知識を

ある程度深めておかないと、

セカンドオピニオンを受けたとしても十分な情報を得ることが

できないからです。

 

 

セカンドオピニオンのメリット

 

セカンドオピニオンを受けて新しい治療が提案された場合、

治療成績の向上につながることがあるでしょう。

 

一方でセカンドオピニオンを受けても新たな治療法が

提案されないことがあります。

 

つまり、主治医と同じ治療方針を勧められる結果になる

ことがあります。

 

たとえそのようになったとしても、

病気に対する理解が深まり、より自信をもって今の治療を

受けていくことができるようになります。

 

そのため、

セカンドオピニオンを受けたことは無駄になりません。

 

 

セカンドオピニオンの手順

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セカンドオピニオンは以下のような手順で進めていきます。

 

1)主治医にセカンドオピニオンを希望していることを伝える。

    (セカンドオピニオン先を決めたうえで主治医に希望を伝えるのが理想)

2)セカンドオピニオン先が決まったら、

      主治医に診療情報提供書を作ってもらう。

3)セカンドオピニオンを受けたら、その結果を主治医に伝える。

4)セカンドオピニオン先で治療を受けることにする場合は、

      主治医にその旨を伝え、改めて今後の治療の依頼をしてもらう。

 

上記のような手順を踏んだ方が、これまでの主治医と

セカンドオピニオン先の医師の連携がスムーズになり、

あなたが良い医療を受けることにつながります。

 

 

セカンドオピニオン先の決め方

 

セカンドオピニオン先については、自分が希望されている病院があれば、

その病院を主治医に伝えて意見を聞いて下さい。

 

主治医からアドバイスをもらえるかもしれませんし、

新たなセカンドオピニオン先を紹介してもらえて、

選択肢が増えるかもしれません。

 

どこにするか迷っている場合は、

通院されてい病院のがん相談支援センターに

相談して下さい。

 

その地域でセカンドオピニオン外来を行っている病院や

専門領域の情報を調べてくれます。

 

 

主治医への話の切り出し方

 

最近は多くの医師が、嫌な顔をせずに診療情報提供書を書いてくれます。

 

ある医師向けのアンケートでは「セカンドオピニオンを受けたいと

いわれても、今後の人間関係の悪化にはつながらない」

と答えた医師が9割でした。

 

とは言っても不安な方や

アンケートではいい顔をしようとしているだけと

考える方もいるでしょう。

 

そんなもしもの時のために、人間関係に悪影響を与えない

セカンドオピニオンの頼み方の例を紹介します。

 

・今の治療は問題ないと考えていますが、家族から別の専門の病院でも

    意見を聞いた方が良いのではと言われたので、

    セカンドオピニオンのためのお手紙をお願いできないでしょうか?

 

・家族がいろいろ調べてくれました。私は乗り気ではないのですが、

   家族の気持ちを無駄にしたくないので、

   セカンドオピニオンのためのお手紙をお願いできないでしょうか?

 

・先生のこれまでの治療に感謝しておりますし、今後もここで治療を

   受け続けたいのですが、知り合いから、別の病院でも意見を聞いた方が

   さらに安心と言われました。そこで、セカンドオピニオンのための

   お手紙を書いてもらえないでしょうか?

 

このように自分以外の人にすすめられているといえば、

主治医との人間関係を壊さずにいられるでしょう。

 

万が一このようにお願いしても対応をしてもらえなかったら、

病院のがん相談支援センターの窓口に相談してみて下さい。

 

 

セカンドオピニオンのデメリット

 

セカンドオピニオンを受けることには、

時間とお金を必要とします。

 

時間については、治療を行うのが遅れることが挙げられます。

余裕のある病状であれば良いですが、比較的緊急性のある状態では、

セカンドオピニオンを受けている間に病状が進行して

予定していた治療を受けることが難しくなることもあります。

 

これについては病状についてどれくらいの時間的余裕があるのか

主治医としっかり話し合うのが大切です。

 

またお金については、セカンドオピニオンの費用は自由診療なので、

健康保険の適用にはなりません。

 

そのため、病院が自由に決めることができ、

1時間5000円のところもあれば、3万円のところもあります。

 

さらにセカンドオピニオンを受けるために、

主治医に書いてもらう診療情報提供書にも

数千円の費用がかかります。

 

 

最後に

 

セカンドオピニオンは、費用や時間の面などで問題点があり、

良いことばかりではないです。

 

しかしこれらの面が問題にならない状況で

今の治療やこれから行う治療に迷いがある場合は、

一度セカンドオピニオンを受けてみることを

お勧めします。

 

ただその際には、自分自身でもがんについての知識を

ある程度しっかり学び、主治医の考え方を把握することが

大切です。

 

そのような準備をしてセカンドオピニオン受けた後は、

自信をもって治療を受けることができるようになるでしょう。

 

その際は、正しい手順を踏んで

主治医に希望を伝え、セカンドオピニオン先の医師との

連携がスムーズになるようにすることが大切です。

 

この記事によって少しでも多くの方が

良いセカンドオピニオンを受けて

より良い治療を受けられることを祈っています。

 

 

 

 

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