Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【人生の選択を誤らないために】まず考えるべきは標準治療。しかし限界もあり。民間療法しかないと思った時に考えてみること。

「きっと世界には自分に合う治療が存在し、

それは病院では普通の病院では行われていない治療である。」

と考えていませんか?

 

あるいは病院で提示された治療があまりにも辛すぎて

救いを求めるために民間療法に手を出そうとしていませんか?

 

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世の中には、

世界中の研究を検証した結果できた治療

「標準治療」というものが存在します。

 

今回は、まずは「標準治療」に基づいて

治療内容を検討していくことが大切であること

お伝えしたいと思います。

 

その上で、標準治療にも限界があり、

この治療を行うのが難しい時にどのように対応していくのが良いか

その考え方についても紹介していきます。

 

 

 

標準治療とは

 

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これは科学的根拠に基づいて現在提供できる

最良の治療とされています。

 

ここでの科学的根拠とは、

動物実験・臨床試験で治療による効果を認めたこと

意味します。

 

現在提供できるとは、設備や人材の面から

全国各地の病院でその治療を実行することができることを意味します。

そのため、特定の人だけでなく、一般の人がその治療を受けることができます。

 

最良の治療とは、文字通り「一番良い治療」ということです。

ただし、上記2つの条件下での最良の治療ということになります。

 

 

標準治療の凄いところ(審査が厳しい)

 

「科学的根拠がある」と記載があるだけで、「標準治療って凄い」

と思うわれる方もいるかもしれませんが、

標準治療でない治療にも、科学的根拠を示すものはあります。

 

では標準治療は何がそんなに凄いのか?

 

それは標準治療になるためには、

世界中で多くの研究がなされた結果であるからです。

つまり、お金と人材と労力と時間をかけて吟味されていることが凄い

 

治療に効果があるとわかってから標準治療とされるまでに

5年〜10年はかかります。

 

中には臨床的に明らかに改善効果があると考えられるものでも

統計学的に効いていると証明できなければ、

標準治療にならないこともあるくらい厳しく審査されます。

そのため、再度臨床研究をやり直すことさえあります。

 

 

標準治療の効果

 

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「審査が厳しいのはわかりました。

では、どの程度効果があるものなのですか?」

と疑問に思うでしょう。

 

効果は治療方法によって様々です。

なぜなら以下のような基準で、標準治療になるからです。

 

・治療しないより効果がある

・既にある標準治療より効果がある

 

そのため、劇的な効果があるものもあれば、

ほんの少ししか効果が期待できないものもあります。

 

ただし、ほんの少ししか効果が期待できないものであっても、

既存の標準治療よりは効果があることが統計学的に示されているため、

最も高い効果があることになります。

 

 

標準治療の限界

 

どんなものにも限界がありますが、

標準治療にもいくつか限界があります。

それは以下のような点です。

 

研究の対象にならなければいけない。(現在の主な対象は、西洋医学。)

・基本的に対象は75歳以下(特に癌治療

・標準治療になるまでには長い時間がかかる(5〜10年)

全国各地の施設で治療が行えなければならない。

 

 

それでもまずは、標準治療を検討する

 

前述のように、標準治療にも限界はあります。

標準治療に基づいて記載された「ガイドライン」が存在しますが、

実際にガイドライン通り治療が行えるのは、70%程度と言われています。

 

しかし標準治療通りの治療が行えない場合でも必ず最初は、

標準治療を行えるかどうかを検討します。

 

つまり、標準治療を行えるかどうかに関わらず、

最初に必ず(100%)標準治療を検討します。

 

なぜなら、全ての人に提供できる治療としては、

標準治療が最も大きな効果を出す可能性が高い

と考えられるからです。

 

 

 

「標準治療+α」を考える

 

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標準治療だけでも効果は期待できますが、

標準治療+αにすることによって、

治療効果を高めたり、副作用の軽減が期待できます。

 

具体的な例としては、以下の方法があります。

これらの多くは病気の時だけではなく、

病気になる前から後まで、いつでも取り入れた方が良い習慣です。

  

・食事

   ・オメガ3脂肪酸を摂取する

  (インカインチオイル、ナッツ、エクストラバージンオイルなど)

   ・添加物を避ける

  (有機野菜、無添加の調味料・油、ベジセーフなどを使用する)

   ・酸化した油の摂取を避ける

   ・食物繊維を摂取する(雑穀米など)

 

・運動

   ・筋力(特に足腰の筋力)があった方が長生きできる

   ・有酸素運動(ランニングなど)

 

・漢方

   ・病態に応じて体の中で足りない部分を補い助ける。

   ・免疫力を上げる

       (ウサイエン、霊芝、人参養栄湯、十全大補湯、補中益気湯など)

   ・体質の改善も期待できるとされる。

 

・サプリメント

   ・アミノ酸やプロテインの摂取(食事だけでは不十分とされている)。

   ・疲れやすさの改善や、疲労回復速度アップを期待して、

      コエンザイムQ10(加齢に伴い減少するとされている)など。

 

 

標準治療以外の効果がある治療

 

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特定の条件(病状や金銭的に余裕があるなど)を満たした場合、

例えばがんの場合には、

以下のような治療を考えることがあります。

 

   ・がんに対する先進医療(粒子線治療)

   ・高圧酸素療法、温熱化学療法(ハイパーサーミア)

   ・腹膜播種に対する治療(抗がん剤の腹腔内投与)

   ・各種がんに対する放射線治療

       (ステージ4膵癌だが、局所制御がより必要な場合など)

 ・国立がんセンターなどで行われている治験への参加

   

がんに対する粒子線治療はがんが全身に散らばっていない状態の治療に、

高圧酸素併用の温熱化学療法は、抗がん剤の効果を高める治療として

一定の高い効果が報告されています。

 

しかしこれらには問題点があります。

粒子線治療は先進医療であり、治療に300万円ほどかかります。

また治療を行える施設が限られています。

 

もちろん保険診療ではないので、

先進医療特約などの保険に加入されていなければ

100%自己負担になります。

 

高圧酸素療法や、

温熱化学療法も治療を行える施設が限られています。

そのため、遠方に治療を受けに行くことになり、

金銭的にも時間的にも余裕があることが必要になります。

 

 

自己負担を少なくして、治療効果を高めるなら「漢方」

 

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一方で

漢方のみで明らかな腫瘍縮小効果を得ることは難しいことが多いですが、

少ない金銭的な負担で

体の不調をサポートすることができます。

 

方によって、状態が改善。

その結果、

標準治療が行えるようになる例もあります。

 

しかし漢方が標準治療になっていることは少ないです。

それは1つの漢方薬に複数の生薬が混在していることや、

漢方を積極的に使用している医師が少なかったことなどが、

原因として考えられます。

 

 

標準治療を行うのが難しい時の考え方

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標準治療を行うのが難しい場合、

あるいはどうしても納得できない場合は、

以下のように考えてみると良いでしょう。

 

まずは主治医と相談します。

そして貴方にとって本当に良い治療ついて相談をしましょう。

 

その結果、主治医と意見が合わなくなって

貴方が民間療法に手を出したとします。

 

その場合は、

 

治療を行ってみて効果がないようであれば、

取り返しがつかなくなる前に、

治療方針の変更することが大切です。

 

これは医師の承諾を得ずに

自分の判断で民間療法に手を出した場合などには

特に大切なことなので覚えておきましょう。

 

特にがんの場合は

効果がない治療を続け過ぎると、

がんは大きくなって行くので取り返しがつかなくなります。

 

 

最後に

 

研究はお金が投資されやすい対象で発展します。

西洋医学が主体の時代ですから、

どうしても西洋医学の研究にお金が投資されやすくなります。

 

これによって効果があると考えられる西洋医学の治療が

標準治療になりやすくなっている現状があります。

 

しかしこのような状況でも

まず考えるべき治療は標準治療です。

 

それはやはり、効果が期待できることが

統計学的には証明されているからです。

つまり、効果が認めやすいことがわかっているからです。

 

ただそのような標準治療にも前述のような限界があります。

そのため医療不信に陥ったり、

民間療法に頼りたくなるのではないでしょうか。

 

今回は標準治療をさらに効果的にするための「+αの治療」と、

標準治療にはなっていないけれど効果がある治療について紹介しました。

 

また民間療法に頼った場合に

デメリットを受けにくくする工夫についても紹介しました。

 

これによって、多くの人がより良い治療受けることができ、

民間療法を受けることになった人が

より少ないデメリットで済むようになることを祈っています。

 

 

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