Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【医師が解説】大腸がんの症状とは、「症状がないこと」。苦痛が少ない大腸カメラを受けられるタイミング【出血/便通異常(便秘・下痢・細い便)/腹痛/腸閉塞】

「症状がないから大腸がんではない」

「痔があるから、肛門から出血していても大丈夫」

と考えて定期的な大腸カメラの検査を受けていない方いませんか?

 

一方で

「腹痛があるから、大腸がんの可能性が高い」

と考えて大腸カメラの検査を依頼して

かえって辛い思いをしたことはありませんか?

 

大腸がんは早期発見ができたら、

大腸カメラ(内視鏡)や手術で

完治ができるがんです。

 

今回は上記のような間違った認識を改め、

出来るだけ辛くないように、つまり楽して受けられる

大腸カメラのタイミングについて紹介します。

 

 

 

大腸がんの症状とは

 

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大腸がんには、症状があると信じられています。

それはがんがかなり大きくなってきて

出血、便通異常、腸閉塞が出現することで

はじめて生じる症状です。

 

まずはこれらの病態について1つずつ解説します。

 

 

出血

 

大腸がんは大きくなるにつれて、腸の内腔に向かって

盛り上がるだけでなく、表面がもろくなります。

 

その結果、便ががんの表面をこすった際に

じわじわ出血してくることがあります。

 

そのため、便やトイレットペーパーに血がつくときには、

大腸がんの可能性も考えましょう。

 

そしてよく間違いですが、

上記のような出血の原因は「痔」であると

決めつけないようにしましょう。

 

1つ事例をご紹介します。

 

数年前から痔という診断を受けていましたが、

貧血が急に進んできたため、大腸カメラを受けて頂きました。

 

すると、確かに痔はあったのですが、

大腸の奥の方に進行した大腸がんもありました。

 

このように痔だけではなく、大腸がんもあるというケースは

珍しいことではありません。

 

 

便通異常

 

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大腸がんが大きくなり、便の通り道である大腸が狭くなると、

便秘になったり、便が細くなったりします。

 

狭いところを便がスムーズに通過できないということで

下痢気味になったり、腹痛を感じたりする人もいます。

 

普段は便通に問題のない方が、便通に変化を生じたときには、

大腸がんが原因である可能性も考えましょう。

 

 

腸閉塞

 

大腸がんがさらに大きくなると、便の通り道を完全にふさぎ、

便やおならを出すことが出来なくなります。

 

このような状態を腸閉塞と言います。

 

腸閉塞になると、お腹がパンパンになったり

嘔吐したりします。

 

腸に大量の便が貯まって大腸の壁に穴があくこともあります。

腸に穴があくと、腸の中の細菌がお腹の中にばら撒かれるので

腹膜炎という重症の感染症になり、

そのまま命を失ってしまう危険が生じます。

 

そのため、腸閉塞になった場合は

すぐに病院を受診しましょう。

 

 

大腸がんの症状は、「症状がないこと」

 

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確かに出血、便通異常、腸閉塞は大腸がんによる症状ですが、

実際には腸閉塞やそれに近い状態になって

初めて大腸がんの可能性を考えて病院を受診され

発見されることが多いす。

 

出血や便通異常の方で大腸カメラを受けて

大腸がんが発見される方もいますが、

これらの症状自体がない方の方が多いです。

 

また肛門の近くにできた大腸がんの方が、

症状が出現しやすいとされていますが、

大腸の奥の方にできたがんと比べて出現しやすいということであって

実は症状が出現する総数が多い訳ではありません。

 

そのため、たとえ治りやすいと言われている大腸がんであっても

症状が出現した時にはかなり進行した状態であり、

手術もできない状態であることが稀ではありません。

 

以上より、大腸がんになっても「完治」を目指すのであれば、

「症状がないこと」が大腸がんの症状と考え、

体調の良い時から定期的に大腸カメラを受けることが大切です。

 

特に大腸がんになりやすいような食生活をしている人や、

血縁に大腸がんの患者さんがおられる方は、

大腸がんが発見されやすい40歳以上になったら、

定期的に大腸カメラの検査を受けることをお勧めします。

 

 

苦痛が少ない大腸カメラが受けれるタイミング

 

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「大腸カメラを受けたくないけれど、大腸がんで死にたくはない」

と考えている人ほど、定期的に大腸カメラを受けることをお勧めします。

 

なぜなら、体調が良い時に大腸カメラを受けた方が

検査時に痛みや苦痛が出ることが少ないからです。

 

緊急で大腸カメラを行った時を想像してみて下さい。

 

十分に腸の中を洗えず、便が沢山残ったり、出血などで

カメラの進む方向が見えないことがよくあります。

そのため、普段より多く腸の中に空気を入れます。

 

空気を多く入れるため、腸伸びやすくなり、

その分痛みが出やすくなります。

 

腸閉塞などで腸が詰まっていると

空気が逃げる場所が少なくなり、腸が張りやすくなります。

そのため、苦痛もより一層強くなることがあります。

 

また腸炎などによる痛みがある場合は、

痛みが一旦おさまっても1ヶ月くらいは

大腸カメラを入れると痛みが出現しやすくなります。

 

そのため、腸炎による痛みがある場合は、

腸炎による症状が治って1ヶ月くらい経過してから

大腸カメラを行うことが多いです。

 

もし定期的に大腸カメラを受けているのであれば、

腸炎が治って1ヶ月頃のようやく体力が回復した時期に

大腸カメラを受けなくても良いことになります。

 

 

最後に

 

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「大腸がんの症状は何ですか」と聞かれることは多いです。

そして「大腸がんの症状が出現したら、大腸カメラを受けます。」

という方が多いです。

 

しかし大腸がんを治すために気をつける症状という点で考えるならば、

大腸がんの症状は「症状がないこと」という

認識でいることが大切です。

 

大腸がんを完治するためには症状がない段階からのケアが大切ですが、

幸い大腸カメラさえ受けることができれば、

定期的に検査をしやすい大腸という場所に

大腸がんは出現します。

 

そしてその場で大腸カメラで治療することもできますし、

定期的にポリープを切除してがんを予防することもできます。

 

歯周病にならないように

歯のクリーニングをするがごとく

がんの発生を予防することができます。

 

つまり、大腸カメラの検査1つで

診断・治療・予防が全てができます。 

 

しかし大腸カメラを受けない人には、早期発見が困難になります。

そればかりか状態の悪い時に大腸カメラを行うことになり、

苦痛の多い検査になりやすいです。

 

その上、せっかく頑張って大腸カメラの検査を行ったのに

進行していて手術も出来ないことがあります。

 

定期的な大腸カメラを受けるだけで

ほとんどの人は大腸がんを治すことができる。

大腸がんに対しては、このような医療を提供できる時代です。

 

今後は1人でも多くの人が定期的に大腸カメラを受けて

苦痛が少なく、誰もが完治を目指せるような

世の中なることを願っています。

 

 

 

 

 

 

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