Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【現場の医師が解説】御家族からの突然の病状説明を求められた場合、医師が対応できない本当の理由。

f:id:good-life-good-health:20190801175244j:plain

 

「家族が入院したけれど、一緒に付き添えなくて

後日病院にお見舞いについでだから医師の説明を聞きたい」

と思ったことありませんか。

 

そしてその要望を看護師さんに伝えた時、

「本日の説明は難しいので、後日説明させて頂きます。」

と言われて病状説明を聞けないことが多いでしょう。

 

今回は何故医師が突然の病状説明に対応できないのか

について現場の医師の視点で書いていきます。

 

 

 

スケジュールが予想以上に詰まっている

 

医師の日中のスケジュールは、

主に外来、病棟管理、検査、治療、病状説明、書類作成など

で予想以上に詰まっています。

 

内視鏡検査を行う消化器内科や呼吸器内科、

手術を行外科では、

診察だけでなく、検査や治療に時間を要する割合も多く、

分単位で予定が詰まっていることもあります。

  

このような状況で突然の病状説明を行うには

時間を何とかして作り出さないといけません。

 

 

医療行為にかかる時間を正確に予測するのは難しい

 

f:id:good-life-good-health:20190701152329j:plain 

 

外来をしていると突然予想外の患者さん(初診の患者さん)がきます。

通院されている方が具合が悪くなって来院され、

追加の検査を必要とすることもあります。

 

また検査や治療はやってみて初めて難易度がわかることが

少なからずあります。

 

例えば、大腸カメラであれば、

人によって大腸の走行が違い、腸が伸びやすくて

大腸の奥(盲腸)までカメラが入りづらいことがあります。

 

手術で癒着があれば

癒着を剥がしてからようやく予定していた手術が開始できます。

 

このように医師が関わる医療行為には、

予め必要時間を予測しにくいものが多いです。

 

そのため、時間を作り出すよりも、

思ったより時間がかかってしまい、

昼食の時間や休み時間もなくなったということをよく経験します。

 

 

突然の対応は緊急性のある方が優先される

 

上記のような状況に加えて、

救急車で患者さんが搬送されてきたり、

病棟で急変する患者さんがおられます。

 

このような患者さんは放置しておくと、

命にかかわることがあります。

 

そのため、

仮に時間を作り出すことができた場合でも、

緊急性のある方の対応が優先されます。

 

 

キーパーソンではない人への病状説明は困難なことが多い

 

f:id:good-life-good-health:20190801180924j:plain

 

仮に上記の全てが上手くいって病状説明ができたとします。

 

その場合、病状説明を求めている御家族が

「本人にとって治療方針の決定に鍵となる人かどうか」

が重要です。

 

このような人たちのことを、私たちは「キーパーソン

と呼んでいます。

 

キーパーソンでない人が病状説明を求めてきた時は、

その後に何人ものキーパーソンでない人への説明が必要になる

ことが予想されます。

 

そのため、「1つの病状を説明するのに

5回も突然の病状説明を求められた。

そのため、その他の人たちの検査や治療、

外来などが上手く進まなくなった。」

ということが容易に起こります。

 

全ての突然の病状説明の要望に対応することは、

時間的に不可能です。

 

「誰かのために必要以上に時間を使えば、

別の誰かのための時間が失われる。」

そのような環境に医師はいます。

 

このような事情もあり、

医師は突然の病状説明には、対応できる余裕があったとしても

その病状説明が本当に必要な状況か、極めて慎重に吟味します。

 

 

最後に

 

御家族から病状説明を求められれば、

可能な範囲で対応したいと医師は考えています。

 

しかし全ての、しかもキーパーソンでない方からの

突然の病状説明は困難なのが現状です。

 

それは1日24時間の中で医師が病状説明のために

割ける時間は限りがあるからです。

 

その限りがある時間を有効に使わなければ

全ての病状説明を必要とする患者さんに

病状を説明することが困難になります。

 

このような医師側の事情を知っておくことで

より良い関係を医師と構築していくことが出来るのではないでしょうか。

その一助になれば幸いです。

 

スポンサーリンク