Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【重要】大人気「新型タバコ」の本当のリスク。使用及び受動喫煙で健康被害があると考えて対処するべき。

「新型タバコなら、喫煙しても大丈夫。」

と考えて喫煙されている方いませんか?

 

あるいは、そう言われて

喫煙を始めた方いませんか?

 

新型タバコは、多数の有害物質を含んでおり、

それらの使用が安全であることが保証されていません。

 

むしろ有害物質を含んでいるのであるから

従来のタバコ(燃焼式タバコ)と同様に

健康に害を与えるものとして扱うべきであるとされています。

 

これらの認識のズレが、私たちだけでなく、

未来の子供の健康を害する可能性があるため、

今回は新型タバコについて書いていきます。

 

 

 

新型タバコとは

 

新型タバコとは、何でしょうか。

 

特殊加工されたタバコ葉、

もしくは専用溶液(リキッド)を加熱することで

蒸気(エアロゾル)を発生させる吸引器具のことです。

 

前者非燃焼・加熱式タバコ、

後者電子タバコと呼んでいます。

 

日本では、医薬品医療機器等法(旧薬事法)による規制により

ニコチン含有リキッドは販売されていないため、

非燃焼・加熱式タバコが主に流通しています。

 

そのため、ここでは

「新型タバコ =非燃焼・加熱式タバコ』

として話を進めていきます。

  

 

新型タバコが健康に与える影響

 

新型タバコ市販開始後からの期間は約10年と短く、

健康被害に関する疫学的研究は十分に行われていません。

 

そのため、現状では

エアロゾル中に含まれる成分の解析結果を参考にして

健康への影響を判断する必要があります。

 

新型タバコには、

エアロゾル中にニコチンが1.3mg/1本含まれています。

 

これは従来のタバコ(燃焼式)と同程度の量です。

 

その他にも、アセトアルデヒドなどのカルボニル化合物、

ベンゾピレンなどの多環芳香族炭化水素類、重金属、一酸化炭素、

土壌から蓄積した放射性元素ポロニウムなどが含まれていることが

報告されています。

 

これらの有害成分については、安全とされる濃度が不明であり、

長期的な暴露による健康被害の有無や程度は

明らかにされていません。

 

燃焼式タバコとの比較では、

有害・発癌物質の種類および濃度の低減が報告されていますが、

低減された量が健康被害の低減につながるという

科学的根拠は認められていないと言われています。

 

 

受動喫煙による健康被害

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Niek VerlaanによるPixabayからの画像

 

新型タバコではタバコ葉燃焼による副流煙は発生せず、

「煙が出ないタバコ」として安全面が強調されていますが、

本当に安全なのでしょうか?

 

実は、

新型タバコでも特殊なレーザー光を照射すると、

大量のエアロゾル発生が確認できると言われています。

 

つまり、見えにくいだけなのです。

 

そして新型タバコ使用者から呼出されたエアロゾルには、

空気中濃度と比較して、

PM2.5、PM1、プロピレングリコール、揮発性有機化合物、

重金属、ニコチンなどの有害成分が高濃度に含まれています。

 

これらの吸入による長期的な安全性も不明とされていますが、

明らかに有害成分が確認されているので、

受動喫煙でも悪影響があると考えて行動することが大切と考えます。

 

 

「新型 = 安全」というイメージが喫煙者を増加させている

 

近年、米国における住民調査の結果、

米国の成人おける電子タバコ使用者は急増しており、

その増加率と喫煙率増加が相関していると報告されました。

 

しかも電子タバコの使用者の約3分の1が非喫煙者か過去に喫煙していた人であり、

中でも青少年層の喫煙率増加が問題となっています。

 

そのため、米国食品医薬品局(FDA)は2016年5月、

18歳未満への電子タバコ販売(オンラインを含む)、

無料サンプルの配布を禁止し、

製品のパッケージに健康に関する警告文の記載を義務づけました。

 

このように新型タバコが安全であるというイメージが

喫煙者を増加させる流れは、米国だけで起こる訳ではないでしょう。

 

新型タバコからはじめて我慢ができなくなり、

さらなる刺激を求めて従来のタバコを吸い始める。

 

このような欲求は、国ごとに異なる訳ではありません。

つまり、米国から何も学ばなければ、

同様のことが日本でも起こるでしょう

 

 

最後に

 

新型タバコの使用は、使用者にとっても

受動喫煙に曝される人にとっても健康上推奨されません。

 

なぜなら、新型タバコのエアロゾル中には

有害物質が含まれていることが明らかだからであり、

 

使用及び受動喫煙によって

人体に健康被害があると考えられるからです。

 

日本では新型タバコは受動喫煙対策の対象に含まれておらず、

今後は新型タバコの公衆衛生上のデメリットを検証し、

早急に規制の枠組みを整備することが必要であると考えます。

 

残念ながら、法整備がされるまでは一人一人が気をつけて

新型タバコに手を出さず、

新型タバコも従来のタバコと同じものとして

受動喫煙しないようにするのが重要と考えます。

 

 

 

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