「電子タバコは安全だから、周りの友達と全員で、電子タバコに変えました。」
と言って外来で話をされる方がいます。
「電子タバコが安全」と誰が言い始めたのでしょうか。
少なくとも(医師などの)健康に責任のある仕事をしている人たち
はそんなことは言っていないと思います。
いつの間にか始まり、広がっていた電子タバコの安全神話。
そこで今回は、
電子タバコが安全という神話はどこで始まり何故広まったのか、
何故有害であることは間違いないのか、
について書いていきます。
電子タバコの安全神話は何故広まったのか
日本呼吸器学会は当初から
「新型タバコは、使用者にとっても、
受動喫煙させられる人にとっても、
非加熱式・加熱式タバコや電子タバコの使用は推奨できません」
との見解を示しています。
しかしこのような意見も
電子タバコは安全と期待する人たちの耳には届きません。
電子タバコを安全だと始めに言い出した人は誰かは定かではありません。
もしかしたら「タバコを吸わせたいから、安全を売りにしたい。」という
会社側の思いもあったのかもしれません。
しかし、広めたのは「タバコを吸いたいから、安全であって欲しい。」という
喫煙者の思いがあったからだと思います。
誰かがいくら「電子タバコは安全」と言っていても、
喫煙者がそれを信じなければ、
関心をもつ人がおらず、意味のない主張になってしまいます。
そう考えると、
「電子タバコが安全である」ことが広まったのは、
喫煙者がタバコを諦められなかったことにあるのでしょう。
「新型」=「安全」というイメージで後押しされる
新型タバコという名前がさらに
電子タバコは良いものというイメージを作りあげたと考えられます。
「新型だから安全」
「新型だから良いはず」
というように期待を膨らませていったのではないかと思います。
新型タバコとは非喫煙者でタバコに興味がない人
あるいはタバコが嫌いな人にとっては
新型だけれど「あくまでもタバコですよ」
という意味です。
しかしタバコを吸っている人やタバコを吸ってみたい人にとっては
「新型の」タバコなのでしょう。
電子タバコが有害な理由
電子タバコには
ニコチン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ジアセチル、
PM2.5、PM1、重金属、プロピレングリコール、揮発性有機化合物など
明らかに沢山の有害物質が含まれています。
そして電子タバコを使用した人から吐き出された息には、
沢山の有害物質があり、受動喫煙も引き起こします。
仮に電子タバコが従来のタバコよりも有害物質が少なかったとしても
喫煙者が「安全である」と考えて所構わず吸い続ければ
本人はもちろん、周囲の人も受動喫煙する頻度や時間が
増えてしまいます。
さらに電子タバコを使用する人も増えれば、
それだけでも電子タバコからの有害物質に暴露される
頻度や時間は増えるでしょう。
その上、電子タバコは喫煙を始めるきっかけになる
とも言われています。
実際には米国では、近年、
電子タバコの使用を発端とした青少年層の喫煙率増加が
問題になっています。
最後に
電子タバコを始めとした新型タバコ。
「新型」だから「安全」なのではありません。
「新型」とついても、それは「タバコ」であることに
変わりはありません。
「タバコ」である限りは、
「吸わない」が一番確実で「安全」な方法です。
これ以上、タバコによる害が広がらないうちに
これ以上、電子タバコが広がらないうちに
電子タバコを始めとした新型タバコの危険性を
周りの人に広めていって欲しいと切に願います。