Doctor’s health log(内科医の視点)

総合病院の内科医師が実際の体験を通して健康回復・維持・増進の方法を紹介する雑記ブログ。

【必見】緩和ケアとは、症状緩和ケアのこと。手術・放射線・抗がん剤・痛み止めなどを始めた時から実は始まっている。

 

 

はじめに

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主治医から緩和ケアという言葉を聞いて

「見捨てられた」

「もう終わりだ」

といったような負の感情を抱いたことはありますか?

 

もしそうだとしたら、

以下の記事を読んでみて下さい。

 

緩和ケアについての認識が変わると思います。

 

 

症状緩和ケアは治療が開始時に始まっている

 

実は緩和ケアはその時に始まったものではありません。

手術や放射線・抗がん剤などによる治療が始まった時から

緩和ケアを受けているのです。

 

なぜなら、

緩和ケアとは症状を緩和するためのケア(治療)のことだからです。

 

がんを例に考えると、

手術をした部分に関してはがんがなくなることによって、

放射線や抗がん剤は基本的にがんが小さくなることによって、

痛み止めなどは直接症状を抑えることによって

症状を和らげています。

 

これらは全て症状を緩和してくる治療です。

 

このことを意識せずに

無理に今までの治療と緩和ケアを分けて考えると、

緩和ケアが遠いものに感じるかもしれません。

 

しかし緩和ケアは

手術や放射線・抗がん剤治療が終わってから始めるものではなく、

これらの治療を始めた時点から既に始まっているものなのです。

 

 

手術・放射線・抗がん剤による治療が終わっても症状緩和ケアは続く

 

手術・放射線・抗がん剤の治療を全て効果を認められなくなっても

症状を和らげる治療は続けられます。

 

なぜなら、がんが進行していくことによって

痛みや苦痛が生じるからです。

 

具体的には、

 

・がんそのものの痛み

・段々自分のことを一人でできなくなってくる苦痛

・命を失うことに対する苦痛

・家族と別れることになる苦痛

・仕事をやめて社会との繋がりが段々希薄になっていく苦痛

 

など様々な苦痛が生じます。

 

その痛みや苦痛を和らげるために、その時々に応じた治療が勧められます。

それには、痛み止め、リハビリ、介護サービスによる環境調整、

傾聴、コーチングなどがあります。

 

これらは無理矢理行われるものではなく、

症状を和らげるために自然と必要とされる治療が、

形を少し変えて提供されるものです。

 

全てはつながっています。

 

見捨てているのではなく、むしろ

今の貴方に最も効果の高い治療を行っています。

  

 

最後に

 

確かに終末期が近づいてくると、医療の比重は少なくなります。

このことによって「見捨てられた」と、感じる人もいます。

 

しかし実際にケアを勧めていくと、

介護や傾聴などの比重が多くなり、

人とより深く結びつくことになります。

 

手術や抗がん剤などだけが治療ではありません。

その時々に応じて最も効果の高い治療の形が変わるだけで、

介護や傾聴も立派な治療であることを実感することができると思います。

 

 

この記事が

緩和ケアに対する認識を変えて

より良い医療が提供できるようになる一助になれば幸いです。 

 

 

 

 

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