はじめに
大腸がんが進行した状態でみつかった場合、
手術で完全に取りきれたとしても再発することがあります。
例えば、ステージ3の大腸がんの場合、
手術で完全に取りきれても約30%に再発が起きます。
抗がん剤治療を行うと、
そのうち5〜10%の人に再発が起こらなくなると言われています。
「たった5〜10%!?」
と驚かれる方もいると思います。
同時にそれだけしか変わらないのなら、
「抗がん剤治療を受けない」と考える方もいるでしょう。
しかし、再発した場合は手術できないこともあり、
命に関わることがあります。
なぜなら、
再発するのは元々大腸がんがあった場所にできるケースばかりではなく、
リンパ節や肝臓・肺・お腹の中の腹膜という場所にもできるからです。
そのため、この5〜10%でも再発を減らすために
手術後の抗がん剤は基本的に行うことが勧められています。
一方で「再発を抑えるのは抗がん剤だけではない」
ということも言われ始めています。
そこで今回は、
抗がん剤治療以外で大腸がんの再発率を低くする方法について
書いていきます。
ナッツがステージ3の大腸がんの再発率を低下させた
2018年4月、米国臨床がん学会誌で抗がん剤治療以外の方法で、
ステージ3の大腸がんの再発率を低くし、5年生存率を高くする食べ物がある
という論文が掲載されました。
(引用:https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2017.75.5413)
その食べ物とは、クルミなどのナッツです。
この論文によると、
ステージ3の大腸がんの手術後にナッツを多く摂取したグループは、
摂取しなかったグループより、5年生存率が約15%も良かったという結果でした。
これは驚くべきことで、
ナッツが手術後の抗がん剤治療に匹敵する効果を示した、
ということになります。
ただし、この結論から抗がん剤を受ける代わりに
ナッツを食べようという解釈はしないでください。
あくまでここで言っているのは、
病院で適切な治療を受けつつ、食生活に気をつけると
より良い治療結果が得られるということです。
ナッツがが再発率を低下させた理由
どうしてナッツ摂取したグループにこのような驚くべき効果があったのか。
それはオメガ3脂肪酸という脂質を
ナッツからたくさん摂取したことが理由の1つになると考えられます。
オメガ3の摂取のしかたについてこちらも参考にしてみて下さい。
適度な食物繊維の摂取も大腸がんの生存率を向上させる
食物繊維の摂取も大腸がんの生存率を上げるとされています。
(引用:https://www.bmj.com/content/343/bmj.d6617.long)
食事について注意すべきこと
食事内容を工夫した方が大腸がんの生存率が良くなることは間違いなさそうです。
しかし残念ながら、世の中にはこのことを利用して
極端な食事療法を提案する医師がいます。
例えば、糖質制限食や塩分を取らないほうが
がんの治療には良いなどと主張する医師がいます。
そのような食事療法をして体調を崩さなければよいのですが、
あまりに極端な食事内容のために体調を崩す人がいます。
万が一貴方がそのような場合は、
本当にその食事方法が体にあっているかどうかをしっかり考えて下さい。
誤った知識に基づいて食事療法を行っていると、
かえって、がんの治療成績を下げることにつながります。
最後に
少なくとも現状では、
手術時に大腸がんが取りきれていても
術後の再発はゼロにはできません。
そこで抗がん剤を投与した方が
再発する確率が低下する方には
手術後に抗がん剤治療を行うことが勧めらています。
それでも5〜10%の再発が抑えられる程度にとどまっています。
このような厳しい現状はありますが、
食事を気をつけることにより、
さらに再発する確率を低下させることが期待できます。
中でもナッツに含まれるオメガ3脂肪酸、
食物繊維はしっかりと摂取することを
お勧めします。